43 森絵都 角川書店
森絵都は何冊か読んでいる。でも、久しぶりかも。すごくおもしろかった。
敗戦後、進駐軍の日系通訳官、サクラギリュウに指令が下る。日本人女性四人に、一つの宿舎で暮らしながら民主主義やアメリカの先進的な考え方、生き方を教えるというGHQの試験的レッスンである。集められた個性あふれる四人を前に、彼は呻吟する。そもそも、誰もが平等に尊重される民主主義というものがアメリカにはあったのか。日系であるがゆえに苦汁をなめさせられてきた彼自身が、民主主義とは何か、と向き合わねばならなくなる。
学びの場を提供する華族仁藤夫人のしたたかさ、怪しさ、この企画を推進するミラー少佐のいかがわしさ。その中でひそかに進行する女性たちの秘密の策略、そして恋模様。様々な要素が絡まって面白いし、考えさせられる。人が平等に幸せに尊重しあって暮らすとはどういうことなのか。今を生きる読み手たちにも問題が突き付けられるようなところもある。
今もなお、同じような問題はあり、その中で、したたかに生きる人もいる。一生懸命道を探す人もいる。どんな時代もどんな環境も超えて、人は真実を探す。この物語はフィクションなのだが、こんなレッスンが本当にあったとしたら、それはとても面白いことだっただろうに、と思えてならない。私たちも今なおこうしたレッスンが必要なのかもしれない。
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