126 小梅けいと 原作 スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ 監修 速水螺旋人
500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない、戦争の真実を明らかにした、ノーベル文学賞作家の主著をコミック化したのが本書である。丁寧で細かく描きこまれた絵が、戦争の恐ろしさをまざまざと伝えている。
「同志少女よ、敵を撃て」と同じような内容であるが、小説が読者の頭の中に戦争を広げるとしたら、コミックはそれをもっと具体化する。それは、私が本当の戦争を経験していないからなのかもしれない。
女性が戦争の現場に出るということ。戦ったのは、男だけではないこと。そして、女性であるがゆえに、よりつらかったこと、苦しかったこと。打ちのめされる思いである。
正しい戦争なんてあるものか、と思う。絶対的悪の敵などいるものか、と思う。人はなぜ平和に互いを認め合って生きていけないのだろう。ウクライナで今起きていることを思うと暗澹とする。
まだ続編が出ているという。読むのはつらい。心を落ち着けて、覚悟を決めて続きを読まなければ、と思う。