札幌・利尻・礼文旅行記3

札幌・利尻・礼文旅行記3

2021年7月24日

翌朝、宿の送迎でフェリー乗り場へ。朝の船で、礼文へ渡るのだ。礼文島が見えてきた。

この島にはタクシーが三台しかないという。そして、路線バスも本数が少ない。小さな島なので、基本、歩きで行こうと思っていたが、昨日の疲れが出た我々 は、ハイキングコースの入り口までは何とかしたいものだと言い合っていた。そうしたら、三台しかないタクシーのうちの一台が止まっているではないか!大喜 びで乗り込み、桃岩展望台まで乗せて行ってもらうことにする。

礼文島は、花の浮島と呼ばれている。緯度が高いので、本州では高い山に登らないとみられない高山植物が、海抜0メートルから普通に咲いているのだ。

展望台入り口から、勇んで歩き出すと、緑と花の美しいこと!

  

天気が良くて風が気持ち良い。ハイキングコースもよく整備されていて、人が少なく、自然を満喫できるとはこのことだ。ずっと歩いて行くと、海が見えるところまで行き着いた。


桃岩展望台のハイキングコースをひとしきり歩いてから、フェリー乗り場方面へ戻る。途中までは草と土の道だが、車道に出てからはつまらない。大きなトンネル工事をやっているところがある。山を超えて海側へ出るトンネルだろうか。

「学校坂道」という屋根のついた長い長い登り階段がある。上には学校があるらしい。そこから降りてきた小学生の坊やが「こんにちは!」と礼儀正しく挨拶し てくれる。「この上は学校?」と聞くと「今、帰りなんです」ですって。小さな島で、大人たちに見守られながら育っているのだろうなあ。しっかりした子だ。

さて、どこかでお昼を食べなければ。息子がスマホで検索して「千鳥」という店がいいという。言ってみると、割に混んでいる。さいわいカウンター席が空いて いるので、そこに座る。旨そうなメニューが並んでいるが、雲丹はまた夜出るだろうしなあ・・・と思い、ホッケのちゃんちゃん焼きを頼む。と、焼き物はテー ブル席でないとね、と言われてしまう。あら、本当だ、テーブル席や小上がりには焼き場がある・・・。仕方なく海鮮ラーメンなんかを注文するが、おお、向こうの席のちゃんちゃん焼きの美味そうなこと。失敗したなあ。

昼食後、近くの資料館で、礼文島の歴史を勉強する。石器があったり、ニシン漁の盛んだった時代の事がわかったりして、なかなか興味深い。

その後は、観光バスだ。礼文島観光は、レンタカーでが基本のようだ。路線バスは本数が少ないし、タクシーは三台だけ。自転車で回るにはアップダウンが激しすぎる島だし。我が家のような運転しない一族が島をぐるっと一周しようと思うと観光バスに頼るしかない。

島の西側は切り立った崖で道が作れない。だから、観光バスは東側を最北まで走ったら、同じ道を戻るのだそうだ。それから南西の海岸に抜けて、また戻ってくるとか。だから、同じ席に座っていても、山側と海側両方が見られますよ、とガイドさんがいう。

車内から「見内(みない)神社」を見る。お社は海側を向いているので、窓からは後ろ側しか見えない。その昔、アイヌたちはここにある岩を見ないようにしていたそうだ。今在では安産の神様になっているというのだけれど。

それから、金環日食観測記念碑。1948年にここで金環日食が観測されたんだそうだ。

澄海岬につく。「スカイみさき」である。海中公園の候補になったけれど、深さが足りなかったかなんだかで、指定を受けられなかったんだそうだ。でも、そのおかげで昔のままの面影を保っているのかもしれない。

そこから、さらに最北限のスコトン岬へ向かう。途中、トドの群れが見えたらしいのだが、確認できず。スコトン岬は、礼文島の一番北側で、もうこの先はない。風がビュウビュウ吹いて、冬来たらさぞかし厳しく寂しかろうと思う。

ここの土産物屋で「昆布ソフトクリーム」を試す。普通のソフトクリームじゃん・・・と思っていると、後味が出汁なのだ。お吸い物を飲んだ後みたいな風味が 舌に残って、不思議な感じ。息子はずうっと岬にいた。戻ってきたら一口やろうと思っていたのになかなか来ないので全部食べちゃった。後から悔しがっていた けど、集団行動しない奴なんて待ってられっか。

最北限からはもと来た道を戻る。今は廃港になってるんですけど、という解説付きで「礼文空港↑」の道標を見る。そういえば、私の学生時代は礼文空港があったような。とある女子大へ行った友人がゼミのフィールドワークの途中で行方不明になり、しばらくしてから礼文島にいたことがわかったなんてことがあったよな あ・・・・と思い出す。

フェリー乗り場に戻りかけで山を抜けて、今日ハイキングをした桃岩の向こう側の海岸へ抜ける。山の上から見た風景だ。夕方が近づいて、海が美しい。

観光バスを降りると宿のお迎えが来ている。フェリー乗り場から少し離れた「花れぶん」が今日の宿だ。

部屋からは海が見える。お風呂は小さめだけど綺麗で使いやすい。でたところに冷たい飲水が用意されているが、これが昆布水ですと。確かにほんのり出汁の味がする。何にでも昆布を入れるんだなあ。

海岸あたりはどこにも昆布がたくさん干してある。それから、雲丹取りの船もたくさん見た。小さな船でうつ伏せに寝て、足で器用に舵を取る。のぞきメガネで海に顔を突っ込んで、長い取っ手のついた網ですくい取っているのだ。

夕食は、まず、野菜サラダから始まった。野菜サラダ?と不思議に思うが、そういえば、こちらに来てから野菜類が不足している。そして、思い出した。

観光バスのガイドさんが話されていたのだ。
「皆さんにはごちそうの雲丹やエビやアワビですが、ここに産む私たちにとっては、贅沢な話ですが、割合普通の食べ物なんです。海に入れば取れますから。 じゃあ、何が贅沢な食べ物かというと、野菜なんです。礼文島は漁業の島で、畑や田んぼはありません。わずかに家庭菜園をやっている家はありますが、野菜は 基本、船に乗って海を渡ってきます。船賃が乗っていますから、おねだんも高いのです。」

なるほどねえ、と感心する。野菜サラダ、なんだか久しぶりで美味しい。それから、ここでは普通の食べ物だという雲丹がてんこ盛りのお造りをわしわしと食べる。そして、エビやホタテや毛ガニにイクラ、牛のステーキも少量。そういえば肉も久しぶりだなあ・・・・。

夜にロビーで礼文島の花のビデオ鑑賞会があるという。参加したいのだが、たくさんたくさん歩いたので体中が筋肉痛で、その元気がない。ああ、もったいない・・・と思いながら、ものすごく早い時間に寝てしまった。体力、無いなあ。

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2015/8/28