153 椎名誠 集英社
「失踪願望。コロナフラフラ格闘編」の続編。2022年7月から2023年6月までの日記に書き下ろしの「さらば友よ!」を加えた本。椎名の本自体は「みんな元気だ」以来。二年ぶりくらいか。
白内障の手術をしたり、デジタル的なトラブルがあると孫の風太君がすぐに対応してくれたり、あちこち出かけて行っては講演をして仲間と飲んだり。相変わらずの日々の中、突然、朋友の目黒考二(北上次郎)が末期のガンであることを知らされる。しばらくして病院から電話がかかってくる。「励ましとかはもういらないから、楽しかったことを話そうぜ」と言われて楽しかった話をする。やがて彼は疲れ、電話を切る。シーナは孫にLineの設定をしてもらってそれで交流しようとするがそれも空しく、年が明けて訃報が届く。しばらくはシーナも茫然とし、体調もおかしくなる。
北上次郎が生前に「シーナ、逃げるな」と言ったそうだ。私小説から逃げるな、その本質はセクスアリスだ、と。それで彼は若い頃の今まで封印していた思い出を小説にすることを目指し始める。今はそこを目指しているのだそうだ。
椎名誠は何でもかんでも本にした。年にどれだけ新刊を出したことだろう。それは楽しかったり面白かったりはしたのだけれど、どんどん薄まっていたと私は思う。彼の作品で私が一番好きなのは「パタゴニア」だ。深い深い文学の香りがする本であった。この本ではその「パタゴニア」に触れていた。もう一度そこに立ち戻って書かなければ、とあった。そうか。そこに立ち戻るのか。それなら、また読みたい。そう思った。
本当は図書館から二冊の本が来て、この本は後に回すつもりだったのだが、もう一冊がなかなかハードなので、体調がいい時に読んだほうがいいよ、と友人からアドバイスをもらった。なんだかやたらとくしゃみと鼻水が出て、眠くて眠くてテレビなんて見るとすぐ気を失ってしまっていたので、この本を先に読んだ。さあ、体調を整えて、もう一冊にも挑むぞ。
