ののはな通信

ののはな通信

2021年7月9日

52 三浦しをん KADOKAWA

「マナーはいらない」以来の三浦しをんである。

横浜のミッションのお嬢様学校で知り合った野々原茜(のの)と牧田はな(はな)。仲良しの二人は学校でおしゃべりするだけでは足りず、帰宅後も電話をし、手紙を交わし合う。かわされた手紙は大切に保存されていく。様々な事件があり、二人の関係性も変化していく。一時の断絶があり、まだ出会い、そして離れ、二十年後の彼女たちがどうなっていったか。

軽やかな女子高生の友情物語かと思っていたら、結構な重みの恋愛小説となり、と思ったら最後には全く別の展開が待っている。ひと処にとどまることのない、ぐんぐんと進むストーリーに引っ張られていく。それにしても、こんな場所に行き着くとは!

人を真剣に愛することや、まっすぐに生きること、日々を過ごしながら大事なことを忘れずにいること。そんなことが、膨大なエピソードの中から浮き上がってくる。毎日の生活、ちょっとした出来事がこうやって人を作り上げていくのだとも思うし、人は変わらないものだなとも思う。

高校時代の出会いが、こうやってつながっていくのか。と、私の高校時代を振り返るけれど、あの頃の私は寂しくてつまらなくて、でも、よく考えたら友達はいたのね、今も続いている友達が。この物語の「ののとはな」のようではないけれど、友達は大事。と思った。どうか、ののも、はなも幸せでありますように、と読み終えて願う私である。