デンマーク・イタリア旅行記8(ミラノ篇1)

デンマーク・イタリア旅行記8(ミラノ篇1)

2024年6月11日

ヴェネツィアでお弁当のサンドイッチを買い、電車でミラノに移動。途中、車席で昼食を取り、二時間半ほどで到着。到着ホームは二階にある。地上階に降りるエレベーターが見つからず、キャリーバッグを抱えてえっちらおっちら階段を下りる。(後で別の場所にエスカレーターがあることが判明。)イタリアの駅はバリアフリーが不親切な気がする。

駅から歩ける距離のホテルにチェックイン。チェックインタイムに少し早かったが、すんなりと部屋に入れてくれてありがたい。おすすめのレストランも教えてくれた。

ミラノで私が一番行きたかったのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学博物館。キオスクで公共交通の三日券を購入、地下鉄に乗る。自動販売機でもチケット窓口でもなく、飲み物やお菓子を売っているキオスクで三日券や一週間券を売っているのにちょっと驚いた。

レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学博物館では、ジブリの映画に出てきそうな空飛ぶ機械などのダ・ヴィンチの発明品や設計した建物の模型などがずらっと並んでいる。

それだけでなく、現代の機関車、電車、潜水艦などなど、あらゆるものが広い敷地に展示されていた。ワークショップの教室もあって、この近くに住む子供になりたい。

一度部屋に戻り、夕方、フロントに紹介されたレストランへ行く。レストランの名前に「マンマ」がついていたので、おふくろの味的な庶民向けの店のつもりで行ったら、すごく立派なところでちょっと焦る。座るとすぐにウエルカムシャンペンが出て、わしらの様な旅行者に申し訳ない…と思ってしまう。生ガキがあったので頼むとドライアイスもくもくのすごい演出で登場したり、いろんな種類のパンがたくさん盛り合わせで出されたりして。ミラノ名物っぽい料理と、夫はちょっと良いワインを頼んだんだけど、ボトルしかなくて飲み切れない。悔しいことといったら。

もうお腹いっぱい。隣の席の年配のご夫婦は、我々が頼んだ程度の料理は単なるオードブルだったらしく、その後にたっぷりのメイン料理やらパスタやらも次々平らげている。ほんと、皆さんよく食べる。それだけでもういいの?的なことをレストランで毎度毎度聞かれてしまったけど、もう入りません。ああ、ギャル曽根くらいの胃袋が欲しい。食べられればもっと食べたいのはやまやまなのよ、イタリアはおいしい。

ワインでごきげんになってふらふらとホテルに帰って、今夜はおしまいです。

ミラノ二日目。ミラノルネッサンス期の最大の建物だというスフォルツア城に地下鉄で向かう。細長い廊下を組み合わせて四角く作られているお城。内側には美しい庭。

宮殿内は美術館と博物館になっている。フレスコ画やルネサンス期の彫刻、家具や木工、カトラリーや陶磁器、楽器類など多岐にわたって展示されている。

ジャンルごとに次々違う場所へ移動して、階段も上がったり下りたり。今どこにいるのかよくわからなくなってくる。順路が一応あるのだけれど、いったい全部見尽くせたのかどうかもわからないが、とにかくぐるぐる歩き回って、いやあ、すごかったー!という気分になる。

城を出て、その向こうに広がるセンピオーネ公園でひとやすみ。そろそろお昼だけど、サンドイッチ程度の軽いものが食べたいね、とグーグルマップで探すと徒歩圏内にサンドイッチの出店を発見、そこまで歩く。けっこう日差しが強くて、夏みたいだわ。ヘルシンキは雪だったのになあ。サンドイッチは公園のちっちゃな屋台のようなお店。屋外のパラソルとテーブルの所に座り、サンドイッチとオレンジジュースを頼む、オレンジジュースは、真っ赤な生のオレンジを丸ごといくつもいくつも、これでもかとばかりに絞りに絞って、赤くて濃くて素晴らしくおいしい。サンドイッチは、軽くどころじゃなく、ずっしりとしていた。おいしかったよ。

さて、そこから歩いて今度はミラノ中心部へ向かって歩く。入り口が分からなくてうろうろしてから入ったのはガッレリア・ディタリアというかつての銀行と貴族の邸宅を改装した美術館。

現代絵画や宝飾類などが展示されていた。いやあ、アクセサリはこういう場所に置くに限るね、自分で使う気にはならん。

庭もきれいな場所であった。



すぐそばのスカラ座に今度は入る。オペラの殿堂だ。公演が行われていないので、劇場の内部も見せてもらえる。桟敷席から舞台を眺めるのが楽しい。向き合いの桟敷席の誰やらとひそかにお見合いなども行われたという。あら、あそこのイケメンが私のお婿さんね、なんて頬を赤らめたかつての貴族の娘になった…つもりの私であった(笑)。

マリア・カラスの舞台衣装や楽譜などがたくさん展示されていた。マリア・カラス、子供のころに「怖そうなおばさんだな」と思ってたんだけど、きれいな人だったのね。

ヴィットリオ・エマヌエーレ二世のガッレリアというアーケードに行く。テレビでミラノというと必ず映る場所。世界のハイブランドが立ち並んでいる。床も天井も芸術品のように美しく、観光客がひしめいている。

PINKOというブランドが派手な色合いの露出度高めのお洋服をたくさん売っていたのだけれど、日本のピン子さんはこういうの着るかしら。

疲れたのでホテルに戻る。夜は、フロントでおすすめされたピッツェリアに行く。ピザとオッソブーコ、ミラノ風リゾット。どれもおいしゅうございました。

そのレストランからの帰り道、信号待ちをしていると、前に立っていた現地人らしき男性が突然こちらを振り向き、「Canyou speak English?」と尋ねてくる。ちょっとだけなら、と答えると英語で「実は私は財布を落としてしまってお金がありません。少し貸してもらえませんか?」と来た。そういえば、ローマでも全く同じことを信号待ちで行ってきたおばさんがいたけど、聞き流したのを思い出した。これ、旅行者目当ての詐欺、小銭稼ぎだ。「お金ないからあげられない」と答えたのだけど、ワインでちょっと勢いのついていた夫は、怒って日本語で「ばーかばーか」と言った。財布落としたら交番に相談に行けよな、まったく。諦めたのか、どっかに行っちゃった。やれやれ。きっと人のいい旅行者からいくらかせしめた成功体験があるんだろう。友人から聞いた話だと、オリンピックのためフランスから排除されたこの手の方々がイタリアに流れてきている…という説もあるようだ。

そういえば、ローマやバチカンでも様々な「おもらいさん」に出会った。この手の人たちは帽子や箱を前において静かに蹲っているものなのかと思っていたが、イタリアの彼らはかなり積極的。たぶんイタリア語なのだろうけれど、大声で何かを言いながら「施して当然だろう」という顔で帽子などを目の前に突き出してくる。非常に饒舌で、堂々としている。何か権利を主張しているような感じ。カソリック信仰では、貧者へ施しをすることが善行となったりするのだろうか。

それから、ヴェネツィアでは、赤いバラの花束を抱えたおっさんにたまに出会った。彼女へのプレゼント?これからデートなのかしらね、と思いきや、そうじゃない。女性観光客にバラを手渡して、受け取ったが最後、代金を請求するらしい。とはいえ、いかにも貧乏旅行者という風情の私には一度もバラは差し出されなかった。

それとは全く別の話だけれど、ローマではいろいろな場所で道端で楽器を演奏したり歌を歌って投げ銭を貰う人たちもいた。それがかなりお上手なので感心した。あれは小遣い稼ぎというよりも、芸術的な趣味の披露なのかもね。

そんなこんなで、小銭稼ぎは撃退して、この夜はこれでおしまい。明日はいよいよ旅行の最終日だ。

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