18若林正恭 文藝春秋
若林正恭の本は結構読んでいる。世を拗ねた人見知りの売れない芸人が、いつの間にか人見知りを克服し、社会で経験を重ね、自分を見つめ、成長していくさまを著作の中で見ていた気がする。今や結婚してお子さんも誕生し、順風満帆の人生でしょうと思うのだが、どうやら未だに自分探しは続いているらしい。少なくともこの本が出た2018年の時点ではそのようである。
生まれたときから生きづらかった。そう彼は書いている。違う星にやってきて違う星の風習をずっと眺めているような気がしていたという。眺めているだけだと許されないから中にはいってみると、追い出されたり息苦しいことがたくさんあった。それらとずっと向き合ってきたからこそ、戦ってきたことが今生きている、とついに彼は書いている。
自分の生きづらさの原因のほとんどが、他人の否定的な視線への恐怖だった。その視線を殺すには、まず自分が「多人への否定的な視線」をやめるしかない。という気付きも書かれている。わかるよわかるよ、と私は思う。
家庭教師をつけて、日本や世界の歴史を学んだらすごく面白かったことも書かれている。わかるよわかるよ。そうなのだ、歴史を学ぶことは、今を生きることに実は直結する。なぜ今こうなっているのか、人は何を間違えてきたのか、ではどうすればいいのか。たくさんのヒントや教えが歴史の中には豊かに埋まっている。それは、本当に楽しく実になるものなのだ。
よかったね。わかるよわかるよ。と私は思う、まだまだいろんなことがあるし、苦しいことや生きづらいことはなくならない。でも、それでも自分が生きていることに何らかの自信や手応えをはっきりと感じられるとしたら、それは今までの経験と学習のおかげなのだ。それはとても意味のあることだったのだ。60代になってつくづくとそう思っている私である。若林くん、私も同じだよー。
