瓢箪から人生

瓢箪から人生

165 夏井いつき 小学館

夏井先生の本は結構読んできた。「超辛口先生の赤ペン俳句教室」「寝る前に読む一句、二句」「絶滅寸前季語辞典」「絶滅危急季語辞典」などなど。それに、この人の出演する「プレバト!」はほぼ欠かさず見ている。つまり、ファンなのだな、私。

もともと、俳句などというものは年を取って棺桶に片足を突っ込んでから始める趣味であった。と、夏井氏自身も書いている。亡くなった私の義母は俳人であり、本当に良い句を詠む人であった。そして、わりに良い賞をいただいてすぐに亡くなってしまった。まさしく棺桶に俳句の賞を持っていってしまったのだ。俳句の結社は老人ばかりで、後継者不足が大きな課題だった。そんな俳句のすそ野を広げたいと願った夏井先生は奮闘した。テレビのバラエティ番組で芸能人に俳句を作らせて添削し評価するなんて仕事、伝統的な俳句の世界でどんな目で見られるか想像しただけでもわかる。俳句甲子園を始めたころには「高校生に向き合って互いの悪口を言い合わせている」と批判されたこともあるという。それでも頑張って頑張って、俳句のすそ野は広がった。若い人も、海外からも、小さな子どもも、老若男女問わず、俳句を面白いと思い、作ってみようとする人が激増した。これは彼女の大いなる功績である。

本書はそんな夏井いつき氏のエッセイ集である。「女性セブン」に連載していたらしい。彼女が書くのだから、もちろん、俳句がたくさん出てくる。どれも興味深くおもしろく、唸るような句も多い。そして、彼女のこれまでの人生にかかわってきたたくさんの人たちの姿が、また素晴らしい。ほんのちょっとの出会いから深いかかわりにつながっていったり、その時だけの出会いだけれど、大きな大きな印象を残したり、様々な人が出てくる。人生は、いろいろな人と出会うから面白い。そして、どんな人にも真正面から、誠実に、でもちゃんといつも楽しんでかかわっている夏井先生にも脱帽する。

良い本であった。今週も忘れずに「プレバト!」を見よう。