バカボンド

2021年7月24日

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「バガボンド」井上 雄彦、 吉川 英治 モーニングKC 
内田樹さんが薦めていらしたので、レンタルして、33巻まで読みました。こんなに読んでも、まだ終わらないのねー。

この漫画は、宮本武蔵の修行の物語なんですが、次々と人を切っていくのですよ。それも、武蔵、非常に強いので、ばさっと腕を切り飛ばしたり、ざっくり、胴体をちょんぎったり、どうにも凄まじいのです。そして、実は私、こういう描写が、とってもダメなんです。バイオレンス映画なんか見ると、とんでもない夢を見ちゃう。だから、読んでいて、最初は、痛いし怖いし、何度も心が折れそうになりました。

でも、慣れって、恐ろしいです。段々に、人が切られようが、死のうが、感情にフィルターがかかって、ふうん、ってなもんです、読めるようになりました。これは、絵空事。紙に描かれた、絵物語。分かっちゃいるけど、そこに安住するまでに、ちょっと時間が必要だっただけなんですな。

と思ってしまえば、とても面白いマンガです。武蔵の成長物語。ものすごく強いけれど、いわば、ガキでしかなかった武蔵が、戦いの中で如何に大人になっていくかという物語なんですが、それと並行して描かれるダメダメな幼なじみ、本位田又八のキャラに、私はむしろ惹かれます。彼がこれからダメな自分とどう折り合いをつけ、どう生きて行くのか。そっちが気になる私は、やっぱりダメダメな自分を知っているからなんでしょう。

「スラムドッグ$ミリオネア」ダニー・ボイル監督
バガボンドを大量に大人借りすると同時に、映画「スラムドッグ$ミリオネア」のDVDも借りてきました。この原作を、四年ほど前に読んだことがあります。これも、文章で読むとそれほど怖くは感じなかったのですが、映像で見るとかなりショッキングな場面が幾つかあります。人が、油を浴びせられて、生きたまま火をつけられるところや、スラムの子どもが、物乞いが有利になるようにマフィアによって目を潰されるシーンなど。性的なシーンはほぼ皆無なのにもかかわらず、この映画がR指定を受けた理由がわかります。

スラムの子どもが、初恋の女性と再会するために、クイズ・ミリオネアで勝ち進み、不正を疑われるが、彼には正解を重ねる理由があった・・・。インドの実情がわかるがゆえに、インド国内では不評だったという映画ですが、世界を知るためにも、多くの人に見て欲しいと思います。それにしても、感動的な最後のシーンのあと、インド映画のお約束がちゃんと実行されたのには、思わず笑ってしまいました。

2011/5/12