「死神さんとアヒルさん」 ヴォルフ・エァルブルッフ
2008年ドイツ児童文学賞絵本部門の作品だと、パルティオのお友達に教えていただきました。私は、偶然この作品と出会って、びっくりしたのですが。
不思議な絵本です。
いったい何をしようとしているんだろう、と、最初、考え込んでしまいました。読み返したら、すっきり、わかります。わかりますが。
・・・・・でも、嫌いでは、ありません。というか、好きです。あっさりしたつくりなのに、こんなにいろいろ考えることがあって、参りました。
死神さんは、大きな頭蓋骨で、ちっちゃな目があって、なかなかキュートです。チェックの重ね着ワンピースもかわいいです。
しばらくまえからアヒルさんは、だれかが自分のうしろにいるような気がしていました。
「だれ?どうして、わたしのあとをつけてくるの?」
「うれしい。やっと気がついてくれたのね。わたし、死神なの。」
(「死神さんとアヒルさん」ヴォルフ・エァルブルッフより引用)
さるげなく、すごい導入です。
アヒルさんは、けっこう、死神さんと仲良くなります。死神さんは、アヒルさんにつきあって、池に入ったりもします。でも、湿気が骨身にしみて、つらいのです。それで、アヒルさんが同情したりして。なかなか、いい関係です。
アヒルさんは怖がったりしません。死神さんは、そんなに悪い人じゃないみたいです。死神さんも、アヒルさんが好きみたいです。
ラストは、しみじみします。
でも、いのちとは、こういうものなのです。
(「死神さんとアヒルさん」ヴォルフ・エァルブルッフより引用)
朝の読み聞かせに、これを読んだら、一日、気がめいるかな。
それほどでもないんじゃない、高学年なら。と、夫は言いましたが。
人は誰でも、死ぬ。いつか、必ず、死ぬ。そういうことです。
2008/11/28