100歳時代の新しい介護哲学

100歳時代の新しい介護哲学

2021年7月24日

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「100歳時代の新しい介護哲学」久田恵 現代書館

 

介護職に携わる人達100人へのインタビューをまとめた本。最初から介護職についた人は少なくて、何らかの紆余曲折があってたどり着いたという人が多い。そもそもが、職業としては新しい分野だからか。
 
非常に前向きの回答ばかりなのは、ネガティブなものをあらかじめ排除したからなのか、これが現実を反映しているからなのか。収入や労働条件から考えて、決して良い仕事とは言えないが、少なくとも人にありがとうと言われ、明らかに自分が役立っていることを実感でき、やり尽くしたという達成感もある仕事ではあると思う。そんなキレイごとだけじゃ済まないのも、知っているけれど。
 
父が徐々におかしくなって、母が頑張っても追いつかなくなって、それでも家で見るというのを説得し、施設を探し、申込み、空きが出、入所し、倒れ、亡くなるまでを、ここ数年の間に怒涛のように経験した。どれだけ介護職の方々のお世話になったことか。感謝してもし尽くせない。
 
ただ、父のような人に、まるで子供のように話しかけるスタッフさんが多くて、困ったものだとは思っていた。年を取って、よくわからなくなったとしても、父は父であり、立派な一人のオトナである。〇〇さん、と敬意を持って呼んでほしかったし、敬語で対応していただきたい、と何度も思った。子供のように話しかけることが暖かさであり、親しみであるとは思えなかった。そんな事も、この本には書かれていた。自分の親が子供扱いされているのを見て、自分が介護職につこう、と思ったという人の体験談があったのだ。
 
「年をとるってどういうことかわかる?自分の年齢しか聞かれなくなるってことよ。」と言った方がいらしたという。自分の好きなこと、考えていること、したいことなどに全く興味を持ってもらえず、ただ年齢を聞かれ、「その歳には見えない、お若いですね」としか言われない。年寄り、としか扱われない。
 
そう言われてはっとすることがあった、というインタビューがあった。ちゃんと人として対話して、学び取る人はいる。大勢いる。そう思うと、希望も湧いてきた。
 
私達は、どんどん年をとる。いつか、誰かに世話されて、自分では何もできなくなる時が来る。その時、私はどんな気持ちになるんだろう。そんな事を考えながら、読んだ。

2019/3/14