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「モンタヌスが描いた驚異の王国おかしなジパング図版帖」
宮田珠己 パイ・インターナショナル
1543年に日本が「発見」されて以来、多くのヨーロッパ人が日本を訪れた。彼らが本国に伝える日本の姿は意外な楽園であり、驚異の王国であった。中でも1625年に生まれたオランダ人、アルノルドゥス・モンタヌスの「日本誌」は未知の国、日本のイメージを大きく決定づけた。しかし、彼自身が日本を訪れたことは全くなく、いくつかの資料を元に想像を働かせて描いたものであったため、その挿絵は、実はおどろくほどユニークで国籍不明のものであった。だが、それゆえに、彼の絵は不思議な世界を描き出しており、興味深く楽しく面白いものとなっている。
宮田珠己は、解説とツッコミを入れながら、モンタヌスの絵をこの本で我々に紹介してくれる。今回の彼の文体は極めて硬く真面目で、おお、今回はそういった芸風で来たのかい?と何度も尋ねたくなるほどだ。であるが故に、生真面目の底に潜む彼のユーモアはむしろじわじわと効いてくる。というか、たまに真面目な文体がはからずも崩れてしまう場面もあって、笑ってしまう。
私は、外国人の目から見たむかしの日本のルポを読むのが好きだ。よくよく知っている国でありながら、全く違う側面が見られ、タイムスリップと海外旅行を同時に味わうことができるような感覚がある。宮田珠己が同じような好みを持っていることを知ったときは小躍りするようなうれしさがあった。
渡辺京二も「逝きし世の面影」で同様に、かつての日本を外国人がどのように捉えたかを多くの資料にあたりながら解説している。彼が伝えたかったのは、そこにある日本の素晴らしさ、明るさ、美しさである。それによって日本という国の価値をもう一度浮かび上がらせようという真摯な思いが渡辺氏にはあった。が、宮田珠己は、日本を紹介する内容がでたらめであってもいい、というか、そのデタラメさ加減こそが楽しいのであるというもっとおちゃらけた姿勢を持っている。だとしても、それがイカンとは私には全く思えないし、それを楽しむことだって、日本という国に対する一つの愛情の表し方かもしれないとすら思う。まあ、そこまで考えてはないだろうけどね。
この本は、実に不思議な味わいのある挿絵にあふれていて、私は十分満喫し、不思議な国を旅したようだった。
2013/4/23
