やくざと芸能

やくざと芸能

2021年7月24日

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「やくざと芸能 私の愛した日本人なべおさみ イースト・プレス

 

予想したのは、昭和の裏歴史。芸能界とやくざの関連性。そこら辺は、とても興味のある分野だからね。だけど、思ったのとは違った本でした。
 
以前になべおさみの「病室のシャボン玉ホリデー ハナ肇、最期の29日間」を読んだことがあって、その時に彼がどういう人かはだいたいわかったつもりだったのに、また手を出してしまった。後悔している。
 
最初の二章では自分の半生、そこから何故か「日本人はユダヤ人だった!」という歴史観がとうとうと語られ、最後は自分が政治家を如何にして当選させたか、どんなに大物政治家と親しかったかという話や、天皇ご一家との邂逅エピソード、北野武へのヨイショなどへつながっていく。うーむ。
 
文体がひどいので、ゴーストを使っていないことがむしろ明らかなのはいいことなのかもしれない。第三章は手を借りたかもしれないけどね。
 
やくざの精神を根本で支えている「男らしさ」は武士道の「潔さ」と同じなんだそうだ。男らしさよりも実らせる工夫と努力が優先する農耕民や、男らしさが銭を生むか、と商売に精を出し、少々のずるさも商売のうちだと考える商業人、それが堅気だ、と断定する。やくざはそんなことよりも、男らしさを優先して生きるさわやかさがある、らしい。そういう作者の男らしさって?
 
若いころ、うどん粉にセメントを混ぜてDDTだと偽って売り歩いて学費を稼いだこと、「その筋から来た」と偽って、トイレの洗剤を高く売りつけたことなどが得意気に武勇談として書かれているが、それが男らしさだというのだろうか。
 
安倍晋太郎と、鈴木宗男と、池田大作に頼りにされて、何人もの政治家を当選させたのがなべおさみなんだそうだ。投票のお願いで土下座をするときは、白いズボンをはいて、思い切り汚したほうがみんなは感動するんだってさ。
 
読み終えて、げんなりしてしまった。もう、この人の本は、読まない。
 
 

2014/8/28