へろへろ

2021年7月24日

60

「へろへろ 雑誌「ヨレヨレ」と「宅老所よりあい」の人々」

鹿子裕文 ナナロク社

以前、雑誌「ヨレヨレ」については紹介したことがある。この本は、「ヨレヨレ」を出している「宅老所よりあい」や「ヨレヨレ」についての歴史を語った本である。

「宅老所よりあい」は、たった一人のおばあさんをなんとかしようとお寺の一角を借りて宅老所を始めたところから出発して、できる人がきできることをしながら寄付を集め、バザーをし、物品販売をし、土地を探し、補助金申請をし、24年かけて、二億円の資金を集めて木造の施設として作り上げられた。

そこには詩人の谷川俊太郎さんも大いに巻き込まれた。それというのも、寄り合いの中心人物である下村恵美子がとある講演会で、谷川さんのぷりっとしたお尻に惚れ込んで、写真をパチパチ撮ったからである。資金集めのために行われたチャリティイベントでは、谷川さんの着ているTシャツを下村さんが剥がし取り、「もう年なので、そろそろ危ない老詩人の匂いと汗付きの逸品」とオークションにかける暴挙にも及んだ。それを息子の谷川賢作さんが煽り、ご本人は裸に剥かれながら大笑いしていたという。

この本の挿絵を書いたのは、若干十歳のご近所の少年、モンドくんである。ペンで似顔絵を書くのが好きなだけの小学生である。だが、いい絵をかくよ。お礼はよっちゃんイカだというからすごい。いいのか、モンドくん、それで。

介護老人施設は、今や私の目前の課題である。いや、とりあえず今は私が入るわけじゃないんだが。老人が幸せな余生を過ごせる環境、場所をなんとかみつけたいと私もあれこれ悩み、相談し、探してきた。宅老所寄り合いは、その一つの形である。だが、唯一絶対の形ではない。私たちは、それぞれがそれぞれに、自分たちの心地よい最期の居場所をどこかに見つけられたらいいね、と思う。そのための参考書としては、この本は、かなりいいと思う。
2016/7/19