元気じゃないけど、悪くない

元気じゃないけど、悪くない

139 青山ゆみこ ミシマ社

この人、内田樹氏の教え子らしい。なんか聞いたことのある名前だと思ったら、二冊読んでいた。「ほんのちょっと当事者」「人生最後のご馳走」。ぜんぶが全部、共感できるわけではないけれど、物事への姿勢がまっすぐで信頼できる人という印象がある。意見の違う部分を遠慮しないできちんと話せば、ふんふん、あなたはそう思うんだね、私はちょっと違うけど、そうか、そういう考え方もあるね、と認め合えそうな感じ。そういう人って、貴重だ。

青山さんは私と同じように本を読むことに支えられている人らしく、辛い時、苦しい時に本を読む。どんな状態でどんな本を読んだのか、それはどのような内容だったのかが簡単に紹介されているので、この本は実は嵐の日々のためのブックガイドの側面も持っている。今、辛い人は、この本をきっかけに、自分を支えてくれるような本と出会えるといい、という作者の思いも込もっている。

彼女が本から受け取ったと書いてあることは、私にも覚えがある。似たような思い、考えで何とか危機を乗り越えてきた。親が亡くなったり、大切にしていたペットが死んだり、自分が許せなくなったり、お酒を飲むことに疑問を感じたり、身体を内面から変えてみたいと願ったり、そして何をする気力もなくなってしまったり。そんなとき、どうしたらいいか。ゆっくりゆっくり、彼女はいろいろな人や本の助けを借りながら、前へ進んだ。わかるわー、と思いながら、私は読んだ。

私が折に触れてきて読んできた、東畑開人さんや川内有緒さん、白鳥さん、信田さよ子さん、「秘密の花園」細川貂々さん、鈴木大介さん、タラ・ウェストーバーさんなどオールスターが登場して、おお、やはり人はこのような時、同じようにこんな本を読み、自分を支えるのだなあとつくづく共感した。なんだかもう、同じ本を読みあった仲間のような感覚である。

今、心のつらい人、自分を見失っている人はこれを読んだらいいかもしれない。大きな力にはならないかもしれないけれど、同じような人がいるのだなあ、そしてこの人はこんな風に生き抜いたのだなあと知るだけで、少しは楽になるかもしれない。それだけだって、実はすごく大事な助けなんだと思う。