太郎が恋をする頃までには・・・

2021年7月24日

                  栗原美和子 幻冬舎  5

小説です。テレビ局のキャスターから、新聞記者に転身した主人公と、猿回し師との結婚に、部落差別という壁が立ちはだかり、様々な障害が目の前に現れます。そして、ふたりは・・・・。

図書館の「最近話題になった本」のコーナーで発見。新聞の書評で見たときは、ノンフィクションの作品だとばかり思っていましたが、小説だったんですね。でも、表紙は、現実の栗原さんと、猿回しの村崎太郎さんの写真です。
最期まで読み終わって、え?この二人って・・・と、思わず、ネットで検索してしまいました。現実と、小説は、違う展開なんですね。なぜなんだろう。

差別の問題は、とても難しいです。社会と戦うのが、自分だけならいいけれど、身内や親族まで巻き込んでしまうことがある。だから、結婚が、最も大きな問題となっているのは、知識として知っています。けれど、現実に、こうやって付きつけられると、改めて、考え込んでしまいます。

だけど、なぜ、この小説は、現実と違う結末になったのでしょう。そして、なぜ、彼女はノンフィクションという形を取らずに、小説を書いたのでしょう。

私は、ノンフィクションとして書いたほうが、より伝わるものが多かったのではないか、と思ってしまいます。それができない何かがあったのかもしれないけれど、作者の筆力は、作り物で訴えるには少し力が足りなかったのでは?それはたぶん、感情をコントロールして、冷静に世界を作り上げる力の問題ではないかと思われます。時として、感情が激しくなりすぎて、読んでいるこちらがうまくついていけない部分がありました。

だとしても、この二人の将来に幸あれと私は強く願います。
そして、差別などというものが、いつの日かなくなることを祈ります。

2011/4/6