46 アラン・ベネット 白水社
「村田喜代子の本よみ講座」で紹介されていた本。イギリスの劇作家、アラン・ベネットが2006年に発表したエリザベス二世を主人公にした読書小説。世界的にベストセラーになったらしい。日本では2009年に翻訳発刊されている。いやあ、面白かった。
読書なんて全然趣味じゃなかったエリザベス二世が、ひょんなことから移動図書館で本を借り、そこから読書にどっぷりはまっていく。英国君主が読書に夢中になることは、側近たちからはよく思われず、理解も得られない。女王は読書の時間が思い通りにならないことに苦労し、彼女の読書指南役も思わぬ罠にはまってそばを離れてしまうのだが・・・。
読書が人生を豊かにし、新しい世界を広げてくれることをこんな形で示せるなんて。国家に君臨する女王ですら手に入れられなかったものが、本の世界にはある。そして、それは人を成長させ、勇気づけ、明るい未来を示してくれる。すごいなあ、イギリス。国家君主をこんな風に小説に描けるんだ。まあ、日本でも森達也が「千代田区一番一号のラビリンス」でやろうとして、あんまり評価を受けなかったからなあ。私は結構面白かったんだけど。
本好きの人は、一度読んで損はないと思う。とても面白い本であった。
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